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2007.06.14 夏が来る
「人生のなかで
どんなにつらい事や
悲しい事があっても

死んだ人間から
見れば
生きてるって事は
とてつもなく
うらやましい事
なんだろうなあ」


(植芝理一 「ディスコミュニケーション」 第68話 『夏が来る』)


梅雨ですね。
それもしとしとと梅雨らしい梅雨です。

梅雨になると夏が近い。

梅雨と夏の境目は、いまでこそうやむやな感じですが、昔はもっとはっきりしてました。

梅雨の終わり頃。
今までしとしとと雨を降らしていた空が突然ざわっと暗くなり、雷雲が広がり、突如としてざあざあと大粒の雨を降らせます。遠くでは雷鳴がとどろいているようです。肌寒く感じるほど気温がグッと下がり、ガラス窓やコンクリの壁には露がついてしまいました。

しばらく続いたかと思うと雨音が徐々に弱まり、空が明るくなってきました。湿り気のあった空気が、射してきた夏の日差しで暖められ、熱気を持って部屋の畳の上を通り過ぎていきます。外を見れば、いつの間にか咲いていたヒマワリの花に雨のしずくがついています。遠くからはアブラゼミの鳴き声が聞こえてくるようです。

そんな夏になる一日前の、最後の梅雨の日の出来事を描いたのがこの『夏が来る』というお話です。

この町で夏の季節に死んだ子供たちの霊は、毎年夏がやってくる前日に「夏のときめき」を経験して、毎年一人ずつ仲間を天国へ帰していきます。夏のときめきは「ひまわり」だったり「浮き輪」だったり「夏休みの映画の券」だったりしますが、この話の中では主人公 松笛と戸川の「キス」がもっとも「夏のときめき」を感じさせるものとして描かれています。

夏のわくわく感というのはいくつになってもいいものです。
でも、夏の日差しや夏のにおいや、夏のわくわく感は生きていなければ感じられないでしょう。

悲しいと思うことや、つらいと思うことも、生きているからこそ感じられるものです。

毎年、この時期になると思い出すマンガの一コマです。

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